第2回いわて民話まつりin北上報告(その1)2017年06月28日

 今回の民話まつりは、東京で活動している「ふるさと北上民話研究会」が中心となり、同会と縁のある方々にも北上市に来ていただき、岩手の民話と北上の観光をセットで楽しんでいただくよう企画されました。同研究会の千田直さんから以下の報告があったので掲載します。
 
 「第2回 いわて民話まつりin北上」は6月24日、昨年のin葛巻に続いて、北上市・みちのく民俗村でふるさと北上民話研究会が主幹事となり、共催:北上市/北上教育委員会などで開催した。
 県内7団体(新規参加2団体)がそれぞれの地域の方言で伝承文化としての昔話を語り、来場者に民話の魅力を伝えた。会場となった演舞場・旧星川家・旧北川家の3棟はかやぶき屋根で、その持つ特有の雰囲気で民話の素晴らしさを演出した。
11時から演舞場を使いを開会式が行われ、薗実行委員長挨拶、高橋市長の祝辞、続いて盛岡弁と横手弁の昔語りの共演が行われ、盛岡市・小野寺瑞穂さん、横手市・黒沢せいこさんが素晴らしい昔話を披露してくれた。
 その後昼食を30分をはさみ、12時30分より参加7団体が旧星川家、旧北川家でそれぞれの土地で語り継がれてきた民話を披露した。
【7団体の語り】            旧星川家 / 旧北川家
12:30~第1部          葛巻・水沢 / 北上・金ヶ崎
13:30~第2部          九戸・雫石 / 北上
14:30~第3部              雫石 / 滝沢・北上        
【参加7団体】 
① 金ヶ崎町・・金ヶ崎ろばたの会
② 葛巻町 ・・くずまきかだる会
③ 雫石町 ・・雫石・語りっこの会
④ 滝沢市 ・・滝沢・昔語りの会
⑤ 東京都 ・・ふるさと北上民話研究会
⑥ 奥州市 ・・昔話を語り伝える 水沢「プレアデス」の会

 猛烈な暑さの中、県内はもとより、遠く首都圏在住者や名古屋からも大勢のお客様が来て頂き大盛会であった。気温約30℃の中、総来場者は348人という驚く数であった。
 県内でも少しずつ違う味わいのある昔話や柔らかな響きのある方言で聴衆を魅了した。われわれ民話研究会メンバーも、東京で語るよりもネーティブな聴衆に聞いて頂くので、緊張したが、熱心によく聞いてもらえ、時には大いに笑ってもらい、語る喜びをふるさとで味わうことができ大変幸いであった。
 しかし、年配の語り手が体に染みついてきた言葉でとつとつと語りかけるように話す民話には味わいが深く感銘を受けた。
語り部として活躍しているお二人の民話共演は聴衆を魅了し、民話の素晴らしさを享受した。
 また、全体的に各団体各メンバーの語りは格段の上達の感があり、独特の抑揚で、ゆったり間をおいて話して聴衆を魅了しており、各団体はいわて民話まつりに力を入れていると感じた。この「いわて民話まつり」が岩手に定着し、民話の素晴らしさを発信し続けられたら、最高で願ってもないことである。
なお日本芸術文化振興会から助成を頂き、「第2回いわて民話まつりin北上」での7団体の語りの記録DVDを作成しました。

(千田直・記)

<付記>
3部構成で昔話を披露したふるさと北上民話研究会13名は以下の通り。他、雫石9名、滝沢4名、葛巻3名、九戸2名、水沢3名、金ヶ崎3名が口演しました。

【第1部】
1. 姫神山 阿部光子  2.笛吹三郎  小原純一  3.桶屋と雷さま 南館美達
【第2部】
1.もの忘れ 小原正彦  2.猿地蔵  加藤ゆりいか  3.豆っこ 高橋道直
4.ねずみの金つき 薗牧枝  5.あわせて六十  井藤佐和子 
6.扇田の甚内の話 千田直  7.狐のだましくらべ 高橋幸子
【第3部】
1.石コなめって上方参り 小野寺るり子  2.てーほー語り 鈴木昌子 
3.鎧ヶ淵のかくれ里 及川功