日照りが強く暑気が厳しい。しかし今月七日はもう立秋。ふるさと北上では、お盆が過ぎると吹く風が急に秋のものとなる。関東地方より春の訪れがひと月遅く、秋はひと月早くやってくるふるさと北上。お盆にはご先祖様に挨拶をして、花火・芸能祭りとふるさとの夏の終わりを楽しむことにしよう。
今月は定例会、休会。
先月に引き続き「民話研究会と銘打っているが・・」について話したいと思う。
先ずは、この会の成り立ちの復習から。
皆さんご承知のことと思うが、この会は九年前に純平画伯の発案の基に誕生した。
“東京に居てふるさとの言葉を話したい。語りなどもやってみたい”と思い立った純平画伯の趣旨に、ふるさと会役員の高橋仁氏が大いに賛同してくれた。心持を強くした純平氏が取り組んだのは、実際に「ふるさとの言葉」を話して活動している人を探すことであった。そのときめぐり合えたのが、石附絹子さんである。朗読者としてキャリアを持つ石附さんは、方言朗読も得意としていたので、純平画伯の話を聞き、共に活動することに快諾した。漠然とではあるがここから会の形態が出来、薗さん・鈴木さんなど次々参画し活動が始まった。
「民話研究会」の名称は当初からのものである。目的は民話を通して、えなぁだり言葉で語るだけで、高度な民話研究をすると言うのではない。あくまでもふるさとの言葉を懐かしんで語り合う会だ。が最近は熱心に取り組んで、文学的に勉強されているメンバーも出てきている。いいことだ。
民話とは、民衆の中から生まれ伝承されてきた説話である。元来は口承文学、つまり記載文字の発生以前に口づてに伝承されてきたものを云う。しかし、文字の使用が始まって以後も民間の文学として存続してきた。会員の中には「おばさん(お祖母さん)から聞いた」とか「ひっこさんから聞いた」と言う、本当の口承文学継承者もいるが、ほとんどの方は民俗学者の蒐集した民話の本から自分の話す題材を選んでいる。
この会はふるさとの懐かしい言葉を使っての語りと朗読なのだ。本当の意味での“民話研究”はその道の専門家に任せよう。「ふるさと北上民話研究会」と銘打っているが、中身は「ふるさと北上方言楽しむ会」のようなものである。肩の凍らない面白い会だ。
昨年九月から掲載を始めたこのネット会報は民話の会員募集が目的である。定例会を見学に来た方のほとんどが“どうすれば見ないで(暗記して)はなすことが出来るようになるのか”と質問する。民話を暗記することではない。ふるさとで使っていた言葉を、いかに思い出すかなのである。言葉を思い出したとき、そこから懐かしい匂いを放つ昔話の世界が展開する。
どうぞ皆さん、定例会に遊びに来てください。皆でふるさとの言葉を使っておしゃべりをしよう。九月の定例会は三日(木)京橋区民会館にて午後一時からです。
ま~んつまんつ暑(あづ)ごどだなす
お盆、なんじゅでがすた?
みんな変わりねぇぐ、まめしがったんすか?
などなど、帰省のみやげ話の交換会をしよう!!
どんどはれ。 09・8・1
吾亦紅