令和元年度の行事として、6月22日午後2時から、法政大学市ヶ谷キャンパスボアソナードタワーで産業人会を開催、30名余りの参加者で充実したひと時を過ごしました。
I.基本講演
「人工知能(AI)のこれから」と題して、青山学院大学理工学部教授 栗原陽介氏が行いました。難しいテーマですが、会員にわかりやすく話してくれました。
{講演概要}
人工知能は深層学習という機能が開発され、さらに、コンピュータのメモリーが驚異的に増え、コンピュータのスピードとネットの情報通信のスピードが高速化され研究テーマから実用化の域に入っています。まさに日進月歩であり、シンギュラリティと呼ばれる人間の知能を超える性能を持つ可能性が否定できません。そのとき私たちの子供あるいは孫はどんな仕事をすることになるのでしょうか?人工知能・深層学習の機能とは、人工知能の現状、将来そして我々の社会に及ぼす影響などを解説しました。
{質疑応答}
若干記録者の主観が入っているかもしれないが、いくつかに分類して整理する。
- 講演は、AIの歴史から始まった。高々50年の間にその進歩は著しい。自分を含めて、参会のメンバーの大半は、この技術的進歩の流れをフォローしていないように感じた。映画「2001年宇宙への旅」は当時最先端の技術が盛り込まれていたが、もう過去である。
- AIが人間の仕事を奪うのではないかというのが最大の関心事。確かに、多くの作業などがAIに置き換わっていくだろうが、新たな仕事がドンドン増えているのも事実である。職業そのものが大きく変わっていく可能性がある。
- 人間は自らの経験の積み重ねで物事を判断してきた。AIの進歩で、人間はものを考えなくなってきているのではないかとの質問は同感だ。膨大なデータを検索すると、大抵のものは瞬時に出てくる。AIの知識が人類の知識を超えるのは2045年ころとも言われる。これからAIにどう向き合っていくのかが大事と感じた。
- 小学校からパソコン使用が義務付けられるようになり、AIに対する教育もそれなりに進んでいるという。人間の生活やものの考え方が急激に変化していることから、幅広い教育が求められる。講演の中でも、「車の自動運転」の進展に絡めて問題提起があった。技術の進歩とともに、AI社会での「倫理感の問題」をないがしろにできない。
Ⅱ.会員会社のプレゼンテーション
㈱ドウミルアン代表取締役の斎藤成希さんが、アパレル業界での経験を中心に話した。多様なお客さんに対する対応が極めて人間的であり、AIに関する基調講演の後だっただけに、みな興味深く聞いていた。
基調講演の中で、某デパートのアンドロイドによる接客が功を奏している話があったが、客の多様性を考えるとAIが入っていきにくい分野であるような気がした。
Ⅲ.情報交換会
講演とプレゼンの後は、記念写真を撮って、情報交換会。参加者の自由なプレゼンもあり、和気あいあいの交流が行われた。
(小原磯則・記)